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2023/11/28 08:50

備前焼は釉薬を使わず薪窯でじっくりと焼き締めることで、一般的な陶磁器とは異なり、土の表情がよく現れた器肌が特徴です。

素朴な土味のある景色は備前焼の魅力の一つでもあります。

焼き物の世界では、炎によって土や釉薬などが変化し、器に表情として現れたものを景色と呼んでいます。
備前焼は一見地味な焼き物とも思われますが、土の配合や焼成方法、窯に詰める作品の並べ方などの工夫により、多彩な景色が生み出されます。
窯の中で起こるの景色の変化は窯変と呼ばれており、備前焼の景色にも様々な種類が存在します。
ここでは主な備前焼の景色を中心に画像と合わせてご紹介いたします。



■桟切(サンギリ)
白色や灰色、黒色、赤色などの多彩な景色が特徴です。
焼成時に作品の一部が灰や炭などに覆われることで還元焼成となった部分に模様が現れます。
窯の内部にある「桟」と呼ばれる場所に多く見られる景色のため、桟切と呼ばれています。
灰などに覆われて自然に発色した「自然桟切」と、炭を窯内に投入して桟切模様を出す「炭桟切」と呼ばれるものがあります。
(※還元焼成とは、燃焼するために必要な酸素を少なくして不完全燃焼となった状態で焼成する方法。)




緋襷(ヒダスキ)
白地に緋色模様が入った温かみのある焼き色が特徴です。
乾燥した作品に稲藁を巻き、焼成することで稲藁が触れた部分に緋色の模様が現れます。
作品に現れた模様が襷(たすき)を掛けたように見えるため、緋襷と呼ばれています。




胡麻(ゴマ)
黄褐色や黒色、白色などの焼き色が特徴です。
胡麻を振りかけたように見えることからこのような呼ばれ方をしています。
焼成時に窯内にある作品に薪の灰が付着し、熱により様々な景色に変化します。
高温になると付着している灰が溶け、釉薬状になり美しい光沢が生まれます。
自然釉とも呼ばれ、作品表面を流れるような胡麻は流れ胡麻とも呼ばれています。




窯変(ヨウヘン)orコロガシ
器側面などに現れた丸みのある模様が特徴です。
焚口近くの灰が多く降り積もる場所で見られる景色です。
窯詰めの際に、作品を横に寝かせた状態にすることで、焼成時に上から灰が掛かり、灰の当たらない部分に模様が現れます。
窯変とは窯の中で起こるの景色の変化のことを言いますが、特に変化のある景色のため、備前焼で窯変と呼ばれるとこの景色を指します。
また、焼成する際に横に転がすことからコロガシとも呼ばれています。
焚口近くは変形や割れのリスクが大きく、特に緋色の景色は貴重とされています。




虹彩(コウサイ)
一般的には「金彩」と呼ばれる景色で、金色や銀色などの光沢のある景色が特徴です。
金彩の中でも、虹のような複数の色が縞模様となって現れたものは「虹彩」などと呼ばれています。
窯内の温度や湿度、炎の流れなどにより模様の発色が変化するため、特に発色の良いものは数が少なく貴重な景色となります。
光が乱反射することによって見え方が変化するため、日中の自然光などの当たる場所では、より光沢のある色彩が楽しめます。




牡丹餅(ボタモチ)
器の表面に現れた丸い模様などが特徴で、お皿などに多くみられる景色です。
窯詰めの際に、お皿などの上に煎餅状の耐火度が高い土を置くことで、置いた箇所が模様となって現れます。
ぼた餅を並べたような見た目から、このような呼び方をされています。
焼成時の条件によっては、鮮やかな緋色模様が現れることもあります。




ここでご紹介した景色以外にも備前焼には様々な景色が存在します。
土と炎によって生み出される多彩な景色は、備前焼の魅力の一つです。
器を選ぶ際に、景色に注目しながら見てみるのも備前焼を楽しむ一つの方法だと思います。


備前焼は、作り手の工夫によってさまざまな景色が生み出されますが、炎の流れや温度、灰など、その時の焼成条件によって変化するため、全く同じ景色のものは存在しません。
器それぞれに景色が異なるため、当ショップで取り扱っているほとんどの商品が一点物となります。

そのため当ショップでは、できる限り気に入った器を手にしていただきたいという思いから、商品を一点ずつ撮影しショップに掲載しています。
もしお気に入りの一点が見つかりましたら、私共としても嬉しい限りです。